健太郎院長のハートフル通信

当コラムはRCC「タウンdポン」で「健太郎院長のハートフル通信」として連載した原稿を再掲載しています。

2017.3.26 第49回 「明るい未来に向かって」

四つ葉のクローバー今回でハートフル通信は最終回となりました。最後に皆さまにお伝えしたいのは、健康を維持するためにはやっぱり「食事と運動」です。和食を基本として塩分を控え、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を付け加えるとよいでしょう。食材を選ぶときは旬を意識してください。旬の食材は栄養素が豊富で、生命エネルギーに満ちているからです。運動は楽しく続けられるものが一番。天気の良い日にお気に入りのシューズを履いて散歩してみましょう。広島は水と緑にあふれた街。歩くだけで気分も軽やかになるでしょう。あなたが健康であれば気持ちにゆとりが出て周りの人への配慮もできるので、きっと明るい社会になるはずです。皆様の健康と幸せを祈りつつ、このコラムを終わりたいと思います。一年間お付き合いいただきありがとうございました。

2017.3.19 第48回 「すべての人の幸せのために」

ヨガ先日、国立長寿医療研究センターの遠藤英俊先生の講演を聞きました。遠藤先生は認知症のスペシャリストで、認知症診療に関する本をたくさん書いておられます。先生のお話で印象的だったのは、薬だけでは認知機能の改善は難しいということ。一に運動、二に食事だそうです。おや、生活習慣病と同じですね。脳の小さな血管が障害されると認知症が進行するからです。ウォーキングやヨガなどの有酸素運動に、野菜・果物・魚をバランスよく食べること。海外の研究ではオリーブオイルやナッツ類を多く含む食事がアルツハイマー病を予防するそうです。福岡県の久山町研究では牛乳や乳製品を多く食べる人に認知症の発症が少なかったそうです。自分のためだけでなく、家族や周りのすべての人の幸せのために、ライフスタイルを見直しましょう。

2017.3.12 第47回 「春眠暁を覚えず」

寝起き≪春眠暁を覚えず≫ 中国の詩人、孟浩然の詩の一節です。『春の夜は眠り心地がいいので、朝が来たことも気付かず寝過ごしてしまった』という意味です。この時期は日の出が徐々に早くなり、夜の時間が短くなるため、何となく日中に眠気を感じる時期です。しかし、気候のせいだけでしょうか?以前からいびきを指摘されている、夜中によくトイレに起きる、動悸で目が覚めることがある、朝起きたときに頭が重い、などの項目に当てはまる方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。放っておくと高血圧や不整脈、心不全などの病気に繋がる恐れもあります。睡眠時無呼吸症候群の検査は自宅で簡単にできますので、日中の眠気が気になる方は専門のクリニックにお尋ねください。

2017.3.5 第46回 「健康診断はお早めに」

健康診断3月は別れの季節。学校を卒業する人は親しい仲間との別れがあり、会社で異動になる人はお世話になった人達との別れがあります。新しい学校や職場に向けて希望や期待感もありますが、たいていは新しい環境への不安感が大きく、精神的に不安定な時期です。引っ越しの準備だけでも大変なのに、送別会に呼ばれてなかなか自分の時間が取れない・・・。そんな時、ついつい忘れがちなのが健康診断です。一般的な内容は、問診・聴診、視力・聴力検査、心電図、レントゲン、血液検査に尿検査。診断書が完成するまで、通常1~2日あれば大丈夫ですが、採血項目によっては1週間程度時間がかかるものもあります。しまったとドタバタする前に早めに医療機関に相談しましょう!

2017.2.26 第45回 「三寒四温」

春先月、学会雑誌JAMAに『週1~2回の運動でも心臓病やがんによる死亡リスクを減らせるかもしれない』という報告が掲載されました。これは英国ラフバラ大学のドノバン氏らが、イングランドとスコットランドの40歳以上の男女のデータを解析した結果です。「運動していない」「週1~2回」「定期的に運動」の3群に分け死亡リスクを分析しました。6万3,591人を追跡調査した結果、心血管疾患で亡くなる比率は「運動していない」群と比較し「週1~2回」の群で0.66倍、「定期的に運動」している群で0.65倍でした。がんで亡くなる比率は「運動していない」群と比較し「週1~2回」の群で0.83倍、「定期的に運動」している群で0.79倍でした。三寒四温のこの時期は、暖かい日にウォーキングするのがよいでしょう。

2017.2.19 第44回 「新しい生活習慣病」

歯ブラシとデンタルフロス先月、急に奥歯に痛みを感じて歯科を受診しました。先生から「虫歯はありませんが歯石がたくさん着いてます。デンタルフロスや歯間ブラシでよく磨いてくださいね」とのアドバイス。生まれてこのかた歯磨きには歯ブラシしか使ったことがなかったため、歯間ブラシのトゲトゲがちょっと気になりましたが、使ってみるとなるほど歯ブラシで落ちなかった歯の隙間の歯垢が取れました。「これも生活習慣病ですからね」との先生の言葉に、歯科にも生活習慣病があるんだと初めて知りました。歯ブラシだけでは歯垢の除去率は61%ですが、歯間ブラシを合わせて使うと85%までアップするそうです。虫歯や歯周病を予防するために、デンタルフロスや歯間ブラシを使う習慣を身に着けましょう。

2017.2.12 第43回 「チョコレートの効能」

チョコレート14日はバレンタインデーですね。日本ではチョコレートを贈る風習がありますが、チョコレートの効能ってご存知ですか?明治製菓が蒲郡市内外に住む347人の方を対象に、カカオ分72%のチョコレートを毎日25g(板チョコの1/3)、4週間摂取する実験を行いました。すると、もともと血圧が高めの人は摂取後の血圧が5mmHg程度低下しました。これは、カカオポリフェノールが炎症の原因物質である活性酸素を取り除き、血管が拡張したためと考えられます。また、身体の痛みが和らぎ、精神的にも穏やかに過ごせることができたそうです。気になる体重は変化なし!善玉コレステロールも増加したそうです。カカオを多く含むチョコレートを毎日少し食べると、健康に役立つことが証明されました。

2017.2.5 第42回 「花粉前線」

花粉今年、中国地方にスギ花粉が飛び始める時期は2月上旬ごろと予想されています。ですので、もうすでに鼻がムズムズされている方もおられるでしょう。では、花粉の量はどうでしょう?その年の花粉の飛散量は、前年夏の気温が影響します。昨年の夏は、平年よりやや暑かったですね。なので、花粉の量は平年並みか、やや多めと予想されています。例年、4月下旬まで花粉が飛びますので早めの予防が大事です。しかし、インフルエンザの初期症状との鑑別が難しいケースもあります。鼻が詰まって、くしゃみが出るけど、少し熱っぽい場合はインフルエンザの検査をお勧めします。花粉症の方にはつらい春ですが新しい抗アレルギー薬も登場しましたので、かかりつけの先生にご相談ください。

2017.1.29 第41回 「あなたの足、大丈夫ですか?」

足大寒を過ぎ少し寒さも和らいできましたが、皆さま体調はいかがでしょうか?冬は寒さで血管が収縮してしまうため、足の病気にかかりやすい時期です。足先が冷たい、色がおかしい、痛みがある、赤く腫れている、などの異常があれば早めに病院を受診しましょう。とくに糖尿病の方、タバコを吸う方は要注意!小さな傷を放っておくと、どんどん傷口が広がることがあります。ですので、ふだんから足の様子を観察することが大事です。巻き爪はないですか?爪が白く濁ってないですか?魚の目はありませんか?色は変化してないですか?これらの足の異常をチェックして、正しい爪の切り方やケアの方法を教えてくれるのが「フットケア外来」です。足の病気が気になる方は、お近くの総合病院にお尋ねください。

2017.1.22 第40回 「インフルエンザの対処法」

風邪夕方から熱が出て喉が痛い、もしや・・・と困っておられる方のために対処法をお伝えします。風邪でもインフルエンザでも基本的な対処法は同じ。早めに安静にすることです。高熱がでると脱水症状がでやすいため、水分はしっかり補給しましょう。また、お粥や柔らかいうどんなど、消化のよい食物を摂りましょう。食事が欲しくないときは、生姜湯やレモネードで身体を温めてください。翌朝、調子が悪ければ病院に行ってインフルエンザの検査を受けましょう。インフルエンザと診断されればウイルスの増殖を防ぐ治療薬が処方されます。飲み薬、吸入薬、点滴の三種類がありますが、病状に合わせて処方されます。しかし、発症して48時間以内でないと治療薬の効果が現れにくいため、早めの受診を心がけてください。

2017.1.15 第39回 「インフルエンザ注意報」

酉年

1月も第3週目に入り寒さも本格化してきました。正月休みが明けて人の往来が増えると、インフルエンザの流行期に入ります。今回は正しいうがいの仕方について説明します。

  • ①まず、しっかり手を洗いましょう。手についたウイルスを口に入れないためです。指や爪の間、手首も忘れずに!
  • ②次に口をゆすぎます。口の中にいるウイルスを喉の奥へ進めないためです。水を口に含み「グジュグジュ」と口全体をゆすいでから吐き出します。これを2回繰り返しましょう。
  • ③今後は水を口に含み、上を向いて「オ~」っと声を出しましょう。10秒ぐらいうがいしたらペッと吐き出します。これを2回繰り返します。

うがい薬を使えばさらに効果的です。しっかりうがいして、インフルエンザを予防しましょう。

2017.1.1 第38回 「謹賀新年」

酉年明けましておめでとうございます。本年もハートフル通信をどうぞ宜しくお願い致します。今年は酉年。「酉」は「酒」という漢字の部首であるように「果実が極限まで熟した状態」を意味しています。そこから物事が頂点に極まる年とされ、今まで取り組んできた学業や研究に大きな成果が現れるかも知れません。また、「トリ」は運気やお客を「取り込む」に繋がることから商売繁盛の年とも言われます。しかし、申年に元気に動き回った皆さんにとって、今は身体をゆっくり休める時。しかもラニーニャ現象の影響で寒さが一層厳しくなると予想されます。外出したら手洗い、うがいを忘れずに。ニンジンやゴボウ、山芋、生姜などの根菜類は体を温めるのでお勧めです。しっかり体調を整えて仕事始めに備えましょう。

2016.12.25 第37回 「最高のプレゼント」

クリスマス今年4回目の年男を迎えた私にもサンタクロースを信じていた純粋な時期がありました。ではこの年になった今、サンタクロースにお願いするとすれば何でしょう?それは自分を含め家族の「健康」です。普段慌ただしい生活を送っている人が病気やケガで入院すると「健康ってありがたい」と実感します。物事のありがたみは失って初めて気づくものです。しかし、ちょっとした心がけで病気やケガを予防することができます。私は今まで心臓病や動脈硬化を専門に診療を重ねてきましたが、大切なことはやはり食事と運動。腹八分でバランスの良い食事を心がけ、毎日30分汗ばむ程度の運動を続ければ、きっと「健康」という最高のプレゼントを受け取ることができるでしょう。

2016.12.18 第36回 「EPA/AA比について」

刺身14日の中国新聞に「オメガ3脂肪酸が心筋梗塞を予防する」という記事が載っていました。魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)が代表的なオメガ3脂肪酸で、肉に含まれるAA(アラキドン酸)がオメガ6脂肪酸の代表です。このEPAとAAの比率『EPA/AA比』が心筋梗塞の危険性を示す指標と言われています。EPAが豊富なアザラシを主食とするエスキモーの人々は心臓病による死亡率が極端に低いのですが、彼らのEPA/AA比は9.0。それに比べて私たち日本人は0.5程度です。ファーストフードなど西洋式の食事が浸透するにつれ日本人の魚離れが進行し、30代40代といった若い世代でも心筋梗塞を発症する人が増えてきました。働き盛りで倒れないために、魚嫌いな人はぜひEPA/AA比を検査してみてください。

2016.12.11 第35回 「フレイルについて」

ウォーキング前回は「ロコモ」についてお話ししましたが、2014年には日本老年医学会が「フレイル」という概念を提唱しました。これは虚弱を意味するFrailtyからできた用語です。介護が必要となる場合には「ロコモ」のような身体的問題だけでなく、認知症やうつ病などの精神的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題も含まれます。それらの要素をすべて含めた状態が「フレイル」です。フレイルの予防には(1)たんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食事(2)ストレッチ、ウオーキングなどの運動(3)身体活動量や認知機能のチェック(4)ワクチン接種などの感染予防(5)手術後の栄養やリハビリ(6)内服薬の整理、が大事です。年かなと感じたら、かかりつけの先生に相談してみましょう。

2016.12.4 第34回 「ロコモをご存知ですか?」

元気なシニア骨、筋肉、関節などの運動器の障害によって、「立つ」「歩く」といった移動機能が低下した状態を“ロコモ”といいます。2007年に日本整形外科学会が超高齢化社会を迎える日本の未来を見据え、この概念を提唱しました。寝たきりの原因の第一位が運動器の障害であるため、ロコモを予防し健康寿命を延ばしていくことが今必要なのです。健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のこと。平均寿命と健康寿命の間には現在、男性で9年、女性で13年の差があり、この差を縮めることが今後の課題です。ロコモを予防するためには軽い体操やストレッチがお勧めです。また、歩く距離を増やす、階段を使うなどの工夫も大事です。でも、やりすぎには注意してくださいね。

2016.11.27 第33回 「尿酸値について」

健康診断結果広島市では、広島市国民健康保険に加入する40歳から74歳の方に特定健診を行っていますが、今年4月から尿酸値が追加項目となりました。メタボリック症候群のようにお腹周りに脂肪が蓄積すると、キサンチン酸化還元酵素が活性化してプリン体を分解し、尿酸値が上昇します。放っておくと足の親指が赤く腫れて強い痛みを生じます。これが痛風です。また、キサンチン酸化還元酵素は活性酸素も産生するため、血管拡張物質である一酸化窒素(NO)の分解を亢進し、血管内皮機能障害から動脈硬化を引き起こします。すなわち尿酸値を調べることは痛風の予防となるだけでなく、高血圧・心筋梗塞や脳卒中の危険度も知ることができます。さあ、皆さんも特定健診を受けてみましょう!

2016.11.20 第32回 「ちょっと得する漢方の話:葛根湯」

白湯朝夕の冷え込みが厳しくなり、風邪をひかれた方が増えてきました。風邪にお勧めの漢方薬が「葛根湯(カッコントウ)」。7つの生薬から構成され、体を温めて病気を発散させて治す効果があります。「ちょっと喉がおかしい」「熱っぽいが汗はかいてない」「下痢や腹痛などの腹部症状がない」時がベストのタイミング。飲み方の基本は「食間または食前に白湯で飲む」ことです。エキス製剤(顆粒)であれば100ml程度の白湯に溶かして飲んでみてください。シナモン(桂皮)の香りがして意外と美味しいですよ。おろし生姜を少し加えると、体がさらに温って効果的です。肩こり、頭痛、蕁麻疹にも効果があります。風邪薬でだるさや眠気を感じる方は、葛根湯をぜひ試してみてください。

2016.11.13 第31回 「減塩のすすめ③」

ヘルシーメニュー前回、2012年に呉市で行われた減塩サミットについてお話ししましたが、呉市ではさらに数年前から「こだわりのヘルシーグルメDietレストラン」の企画がスタートしています。これは1食分のカロリーが400~600kcal、塩分が2~3グラムのランチを提供するレストランを紹介しており、現在50店近くが参加しています(http://healthy-lunch-kure.com/)。また、様々なイベントで「天然出汁を濃くとり、うまみを活用する」「醤油はかけずにつける、スプレーする」「牛乳の活用」といった減塩のコツを市民に伝授し、平成25年から特定健診の項目に推定食塩摂取量検査を取り入れるなど、行政サイドでも減塩普及に力を注いでいます。健康にいいだけでなく、美味しい料理が何処でも食べられるようになるといいですね。

2016.11.6 第30回 「減塩のすすめ②」

血圧今回は広島県の話題です。私の尊敬する先輩の一人、日下美穂先生が代表となり、2012年5月に「減塩サミット in 呉 2012」が大和ミュージアムと呉阪急ホテルで開催されました。シンポジウムでは塩を知ることの大切さを訴え、市民セミナーでは食塩と心臓血管病との関連性が示されました。高血圧研究の世界的権威であるマクレガー教授は「減塩は最も安く最も強力な治療薬である」と力説され、コラムニストの勝谷誠彦氏は「国政の観点からも減塩食が重要である」と述べられました。ポスター会場では美味しい減塩レシピが写真つきで詳しく紹介され、屋外では減塩クッキングショーや屋台食べ歩きなど実際に美味しい減塩メニューを味わうことができました。楽しんで減塩の大切さが学べる素晴らしい企画でした。

2016.10.30 第29回 「減塩のすすめ①」

醤油・塩ハーバード大学のクック教授らは今月の医学雑誌JACCに『1日の食塩摂取量が6グラム未満の人は9グラムの人と比べて20年間の死亡リスクが25%低い』と発表しました。これは長野県が行っている県民運動を支持する結果です。長野県では昔から食品を塩漬けにして保存する習慣があり、食塩摂取量が多い県でした。そのため、30年前から減塩教室・減塩カレンダーなどの「県民減塩運動」や「野菜を食べようキャンペーン」を実施。野菜に多く含まれるカリウムが体内の余分な塩分を体外に出す働きをもつため、学校給食に地元の野菜を豊富に使うなどの取り組みを行いました。その結果、2010年には男女ともに平均寿命が全国1位となりました!県をあげての減塩の取り組み、素晴らしいですね。

2016.10.23 第28回 「ワクチンについて」

ワクチン注射今年もインフルエンザワクチンの接種時期となりました。細菌やウイルスに感染して発病すると、その病変体に対する抗体が体内で産生され免疫力がつき、その後同じ病気にかかりにくくなります。この原理を応用し、毒性を弱めた病原体や無毒化したものを接種することで、実際には発病しなくても免疫力がつき、感染を予防したり感染しても症状を軽くすることができます。この弱毒化・無毒化した病原体の入った薬液をワクチンと呼びます。しかし、体調のいいときに打たないと熱が出たり体がだるくなったりするため、ワクチンを接種する前には体温や体調を確認します。インフルエンザは自分がなってもしんどいし、他の人にうつしてもいけないもの。早めのワクチン接種をお勧めします。

2016.10.16 第27回 「秋の恵み」

自然薯先日、うちのスタッフと芋掘りに行ってきました。ベニアズマやべにはるか、シルクスイートなどのさつま芋が出てくるたびに子供たちの歓声が上がりました。畑の一角には自然薯も植えてありましたが、これは大人が担当。なぜなら折れやすいからです。自然薯は学名をヤマノイモといい、長芋より粘り気が強く、出汁を加えてとろろにするのが一般的な食べ方。アミラーゼが消化を助け、ビタミンやミネラルが豊富で、疲労回復、成人病やがんの予防にも効果があります。また、漢方では“山薬(さんやく)”という生薬となり、アンチエイジング効果のある八味地黄丸(はちみじおうがん)などの方剤に使われます。さあ、皆さんも自然薯で夏の疲れを取りましょう。

2016.10.9 第26回 「オートファジーについて」

細胞今年のノーベル医学生理学賞に輝いたのは、「オートファジー」の機序を解明した東京工業大学名誉教授の大隅良典氏。私たちの体内で1日に合成されるタンパク質は約300グラムと言われていますが、私たちが1日に摂取するタンパク質は約80グラム。その差である約220グラムは、細胞が自らを食べて分解し必要なタンパク質を構成しています。この細胞の自食作用を「オートファジー」と呼びます。オートファジーの解明がさらに進み、がん細胞や異常なタンパク質を分解し除去することができれば、がんやアルツハイマー病など難病の画期的な治療法になると期待されています。私たちが生きていくために、体の中では実にいろんな事が起きてるんですね。

2016.10.2 第25回 「知らないキノコは触らない!」

キノコ秋の行楽シーズンですね。今年は降雨量が多く、山に入るといろんなキノコが生えています。日本には約1500種類のキノコがあり、食用可能なキノコは約300種、毒キノコと判っているものは約30種ですが、食べられるのか毒なのか不明なキノコが実は大半なのです。毒キノコを食べると、おう吐、下痢、腹痛などの消化器症状、不整脈などの循環器症状、めまい、幻覚、けいれんなどの中枢神経症状など様々な症状が現れます。手当が遅れると死に至ることもあるため、キノコを食べて体調が悪化したら速やかに医療機関を受診してください。食べずに残っているキノコがあれば持参しましょう。診断の大きな手助けとなります。美味しそうに見えても「知らないキノコは触らない」が鉄則です。

2016.9.25 第24回 「スズメバチに要注意!」

スズメバチ8月、9月はスズメバチに刺される危険性が最も高いシーズンです。刺されるとハチ毒によって刺されたところが大きく腫れますが、以前にスズメバチに刺されてアレルギー体質になっていると、蕁麻疹、発汗、吐き気、頭痛、腹痛など全身的な症状が出現します。最もひどい場合、気道が閉塞して死に至ることもあります。予防策として、①長袖・長ズボンを着用する、②白や黄色の服装を選ぶ、③殺虫スプレーを携帯する、④単独で行動しない、⑤匂い(化粧品や清涼飲料水)に注意する、⑥アレルギー体質を周囲に知らせる、などが重要です。アレルギー体質かどうかは病院で調べることができます。陽性の人はアドレナリン自己注射薬であるエピペン®を持たれるのがよいでしょう。

2016.9.18 第23回 「広島に生まれて」

カープいつもハートフル通信をご覧いただきありがとうございます。私は1968年に旧市民球場に近い大手町で生まれ、1975年のカープ初優勝を経験してから、コアでディープなカープファンとなりました。1991年以来25年ぶりとなる今年のリーグ優勝は、Bクラスが当たり前だった2006年からブラウン監督が意識改革を行い、2010年から野村監督が選手を育て上げ、2015年から引き継いだ緒方監督が大輪の花を咲かせた感じです。昨年カープに復帰して常に若い選手を引っ張ってきた黒田選手と新井選手の抱擁を見ると、広島に生まれてカープファンでよかったと目頭が熱くなりました。まだ、クライマックス、日本シリーズと戦いは残っていますが、平和大通りでの優勝パレードを一日も早く見てみたいです。

2016.9.11 第22回 「なくそう受動喫煙」

喫煙国立がん研究センターは先月末、多数の日本人を対象とした複数の研究を統合的に解析したところ、受動喫煙で肺がんになるリスクは受動喫煙しない場合に比べて約1.3倍となり、危険性が明確になったと発表しました。日本の受動喫煙対策は国際的にまだまだ不十分とみられています。タバコは肺がんだけでなく、喉頭がん、食道がんなど多くのがんと関連があります。また、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患の原因にもなります。喫煙者の中には、タバコをやめたいけどついつい吸ってしまう、という人も多いと思います。これはニコチン依存症のためです。タバコをやめるのは簡単ではありませんが、自分のため愛する家族のため、一日も早く禁煙しましょう。

2016.9.4 第21回 「マジックで治療⁉」

手品広島カープは25年ぶりのリーグ優勝に向け着実にマジックを減らしていますが、マジックといえば手品ですね。このマジックと医学の融合を試みる青年がいます。志村 祥瑚(しむら しょうご)さんは、小学生の頃からマジックに夢中になり、慶應大学医学部に進学してからもハリウッドに行ってトレーニングを積み、なんと2012年にラスベガスで行われたJr.マジック世界大会で見事優勝を果たしました!医学とマジックは両立しないという思い込みを消したことが成功につながったそうです。この経験を活かし、現在は精神医学研究室でメンタルトレーニングの開発に携わっています。マジックでネガティブな思い込みを消すことができれば、ストレスに悩む現代人にとって福音となるでしょう。

2016.8.28 第20回 「AIについて」

AI-人工知能最近よく目にする言葉にAI、すなわち人工知能があります。膨大な医学論文を学習したAIが、診断困難な白血病を10分ほどで見抜いて適切な治療法を助言し、女性患者の回復に貢献したというニュースが今月初めに流れました。また、米グーグルが開発した囲碁AI「アルファ碁」がプロ棋士に圧勝したのも記憶に新しいですね。AIは物事を学習し、自ら考える能力を持つコンピュータのプログラム。今後さらに、医療への本格的な応用が進むと考えられています。常に新しい情報をインプットし、膨大な情報から瞬時に正確な診断が可能となれば、もう人間の医師は不要になるかも知れません。しかし私は、患者さんに対するAI(愛)だけは負けないつもりです。

2016.8.21 第19回 「旅行者下痢症について」

トイレットペーパーそろそろ夏休みも終わりですね。東南アジアなど海外で過ごされた方も多いのではないでしょうか。海外旅行で最も多い病気が旅行者下痢症です。ついつい氷で冷えた現地のフルーツが食べたくなりますが、水が最も危険な感染源です。感染すると1日に4~5回以上の水様性下痢があり、ときに血便や発熱を伴うことがあります。多くの場合、無治療でも3~5日で回復しますが、10%の人は慢性的な下痢に移行するといわれています。旅行者下痢症の原因は病原性大腸菌などの細菌が大半ですが、寄生虫やウイルスによるものもあります。寄生虫が原因だと特殊な治療薬が必要となるため、帰国した後に下痢になったら早めに医療機関を受診してください。

2016.8.14 第18回 「あなたを守るメロンエナジー⁉」

ゴーヤーインドや中国ではゴーヤーは昔から民間療法として多く用いられてきました。米コロラド大学がん研究センターのラジェッシュ・アガーワル教授らがゴーヤーの研究を重ねたところ、膵がんに対する効果を発見しました。ゴーヤーの抽出液を摂取したマウスは、摂取していないマウスと比較して、60%も膵がん細胞の増殖が抑制されました。また、水で5%に希釈したゴーヤージュースは膵がん細胞の90%以上を死滅させたそうです!ゴーヤーはグリーンカーテンとして日光から守ってくれるだけでなく、がんも防いでくれる強い味方。英語ではビター・メロンといい、イメージは仮面ライダーのメロンエナジーですが、ゴーヤバージョンはどうでしょう(笑)

2016.7.31 第17回 「サンマからイワシへ」

イワシ「北海道のサンマ漁が今月解禁されましたが、わずかな量しか水揚げできていません。代りにまとまった水揚げが続いているのがマイワシです。」というニュースが流れました。イワシは味もさることながら、栄養面でもサンマに劣らない食材です。動脈硬化を予防するEPAやDHA の含有量はサンマと同等で、カルシウムやビタミンB2も多く含まれています。平安時代、隠れてイワシを食べたことを夫に叱られた紫式部が、次のような歌を詠んで切り返しました。「日の本に はやらせ給ういわしみず まいらぬ人は あらじぞと思ふ」 ≪石清水神社に参らぬ人がいないように、日本にはイワシを食べない人などいないと思いますよ≫という意味です。美味しくて健康にもいいイワシを見直してみましょう!

2016.7.24 第16回 「ヒスタミン食中毒について」

赤身魚刺身-マグロこの時期は熱中症とともに食中毒にも注意が必要です。魚が原因となる食中毒に「ヒスタミン食中毒」があります。マグロ・カツオ・カジキ・ブリといった赤身魚が主な原因です。赤身魚にはヒスチジンというアミノ酸が多く含まれており、これがヒスタミン産生菌の働きでヒスタミンに変化します。ヒスタミンは動物の組織内に広く存在する化学物質ですが、過剰に摂取するとじんましん、頭痛、おう吐や下痢などの中毒症状が出ます。ヒスタミンは熱を加えても分解せず、冷凍しても量は減りません。ですので購入した赤身魚は放置せず、速やかに調理して食べることが重要です。香辛料を使ってないのに舌がピリピリしたら、食べるのをやめてください。

2016.7.17 第15回 「白いものには要注意!」

雑穀先月、ノルウェー科学技術大学の研究チームが、「全粒穀物をたくさん食べる人は、あまり食べない人に比べ、冠動脈疾患や脳卒中といった心血管病になりにくい」と発表しました。さらに、全粒穀物を食べれば食べるほど、がんによる死亡率が減るそうです。 全粒粉パンは小麦の表皮・胚芽・胚乳を含んだ粉からできており色は茶色。穀物繊維が豊富なため、血糖の上昇が緩やかで脂肪もつきにくく、便秘予防にも効果があります。また、ビタミンやミネラルも豊富でダイエットに最適です。ごはんなら雑穀米、麺類なら挽きぐるみの蕎麦がいいでしょう。白米、食パン、砂糖など精製された白いものは美味しいですが、健康には要注意です。

2016.7.10 第14回 「握力で認知症予測!?」

握力皆さんは体力テストを受けたことがありますか?文部科学省が推奨する新体力テストの項目の一つに握力測定があります。若いうちの握力は普段行っている運動の種目によって、社会に出てからは従事する職業に影響されますが、高齢者における握力は身体活動量と相関しており、『健康度の指標』として用いられています。 このたび国立長寿医療研究センターのチームが、「握力が弱い人は認知症を発症するリスクが高い」との調査結果を報告しました。握力が男性で26キロ、女性で18キロを下回ると、認知症のリスクが約2倍になるそうです。認知症予防には普段から頭を使い、体力維持に努めることが大切です。さあ、皆さんも将来のために、今から運動習慣を身につけましょう!

2016.7.3 第13回 「シャンパンで認知症予防⁉」

シャンパン「週に3回、グラス1杯のシャンパンを飲んでみましょう。認知症を予防できるかもしれません。」というニュースが昨年末に流れました。メール・オン・サンデー紙にそう発表したのは、英国レディング大学のジェレミー・スペンサー教授とその研究チーム。彼らは高齢者を対象として、時空間の認識や記憶力の実験を行いました。その結果、週にグラス3杯程度のシャンパンを飲んでいる人たちの正解率が最も高かったそうです。以前から赤ワインに含まれるフラボノイドが認知機能を向上することが知られていましたが、シャンパンに含まれるフェノール化合物にも同様の効果があるんですね!でも、栓を開けると保存が難しいのがシャンパン。くれぐれも飲みすぎには注意してください。

2016.6.26 第12回 「簡単なダイエット法」

サラダベジファーストって言葉を聞いたことがありますか?野菜・汁物を最初に食べ、次に肉や魚などのたんぱく質、最後にごはんや麺類などの炭水化物の順番に食べるダイエット法のことです。野菜や汁物の具材には豊富な食物繊維があり、最初に食べることで糖や脂肪の吸収を抑えてくれます。また、野菜の繊維をよく噛むことで満腹感も得られ、食事の量を減らすこともできます。 一方、ごはんや麺類を最初に食べると、急激に血糖値が上昇し大量のインスリンが分泌され、体に脂肪がつきやすくなります。食べる内容は同じでも、食べる順番を守ることで太りにくい体を手に入れることができます。ポイントはしっかり噛んでゆっくり食べること。さあ、皆さんも始めてみましょう!

2016.6.19 第11回 「お酒が弱い人は要注意⁉」

飲み会お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人、いらっしゃいますよね。これは、アルコールを分解するアルデヒド脱水素酵素の活性が低い遺伝子(変異型ALDH2遺伝子型)を持つ人の特徴です。日本人は西洋人に比べ、この変異型をもつ人の割合が多いことが知られています。 最近、熊本大学の研究チームが日本人における冠れん縮性狭心症と変異型ALDH2遺伝子型との関連を調べたところ、正常型の人にくらべ変異型の人は、冠れん縮性狭心症の有病率が1.6倍高いことが分かりました。冠れん縮性狭心症とは、心臓を栄養する冠動脈がケイレンして一時的に閉塞し、胸痛や失神を生じる狭心症のことです。普段飲まないお酒を飲んで、夜明け前に胸が苦しくなったら要注意!早めに循環器専門医を受診してください。

2016.6.12 第10回 「あなたの血液型は?」

春「血液型による性格診断」は皆さんよくご存じだと思いますが、「血液型と病気との関連性」についてはどうでしょう? 最近、スウェーデンとデンマークの共同研究グループが血液型と血栓塞栓症との関連についての報告を行いました。同グループは、両国の献血データベースを他の医療データ登録とリンクさせ、1987〜2012年の献血者の血液型と血栓塞栓イベントとの関係を検討しました。約111万人を10年間追跡調査した結果、O型の人はA型・B型・AB型の人に比べ、妊娠関連の静脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症および肺塞栓症のリスクが約1/2倍と低値でした。O型の人は免疫力が最も高いとの報告もあり、病気や災害に強いのかも知れません。

2016.6.5 第09回 「あなたの危険度、チェックできます!」

春国立がん研究センターや藤田保健衛生大などのチームが血圧やコレステロールなどの値から心筋梗塞と脳梗塞の発症リスクを計算する予測式を開発し、ウェブサイトで公開を始めました。同チームは茨城、高知、沖縄など5県で心臓や血管の病気にかかったことがない1万5672人を対象に多目的コホート研究を行い、平均16年間追跡したデータの結果から予測式を作成しました。40から69歳までの方が対象で、降圧薬の服用や喫煙習慣、糖尿病の治療など10項目を入力すると今後10年間の発症確率が示されます。健康診断の結果が届いたら、上記のサイトでご自分の値を入力してみましょう。10%を越えた人は要注意です!早めに循環器専門医を受診してください。

2016.5.29 第08回 「太ってないから大丈夫?」

春生活習慣病を予防するいわゆる「メタボ健診」では、おなか周りが男性で85センチ以上、女性では90センチ以上、さらに血圧、脂質、血糖のうち2つの項目で基準を超えると「メタボリック症候群」と診断されます。ところが、厚生労働省の研究班がおよそ3万人の健康状態を調査したところ、痩せた人でも1つでも基準を超えると、健康な人に比べて心筋梗塞や脳卒中などの危険性が約2倍に高まることが分かりました。厚生労働省はおなか周りを測定するだけでは不十分だとして、痩せていても血圧が高めの人などには保健師などが指導を行うことを検討しています。太ってないから大丈夫、ではないようです。健康管理のため、まずご家庭で血圧を測ってみましょう。

2016.5.22 第07回 「血圧のお薬について」

春「血圧のお薬を出しましょう」とお伝えすると患者さんから必ずこう聞かれます。「血圧の薬は一生飲まんといけんのでしょ?」 塩分制限、ダイエット、運動のすべてを厳格に行えば、血圧のお薬が要らなくなる可能性はあります。しかし、実際そこまで下げるのは大変です。また、年とともに血圧は上昇しますので、基本的にはずっと続ける必要があります。 毎日血圧のお薬を飲むことで、心臓病や脳卒中の危険性は確実に減少します。また、血圧だけでなく尿酸値も下げたり、血糖値やコレステロール値も改善してくれるお薬もあります。 厳しい減塩食やダイエットを我慢して続けるより、美味しい物をちょっと食べて血圧のお薬を飲む方が、より豊かな人生になると思います。

2016.5.15 第06回 「ちょっとずつ・・・は要注意!」

春最近、44歳の男性芸能人が路上で倒れ亡くなられたニュースがありました。元気な人でも急に命を奪われる原因となるのが心血管病です。とくに心筋梗塞は危険度の高い疾患ですが、一体何に気をつけたらよいでしょう? 健康診断の項目には血圧、中性脂肪やコレステロール、血糖値など様々ありますが、どれもちょっとずつ高い状態が一番危険です。若い頃のように食べて運動しない生活を続けると、確実にお腹周りの脂肪が増えます。これが血圧、中性脂肪、悪玉コレステロールを上昇させ、さらに平均血糖値(HbA1c)を上げていきます。どれも少しずつだから・・・なんて放っておくと大変です。早めに受診して生活習慣の指導と適切な治療を受けてください。

2016.5.8 第05回 「春はドキドキの季節!?」

春春に多くみられる症状が「動悸」です。年度替わりで仕事内容が一新し、普段より緊張や不安を感じるせいかも知れません。 動悸の検査は心電図。脈の数や不整脈がないか確認します。原因が見つからない場合はホルター心電図(24時間心電図)を行います。最も多い原因が「期外収縮」です。この不整脈は基本的に様子をみていいのですが、症状が強い場合は交感神経を抑える薬や抗不安薬などを使います。それ以外に「発作性上室性頻拍」や「心房細動」などがありますが、これらはカテーテルアブレーションや抗凝固療法といった専門的な治療が必要です。 「最近、恋してないのにドキドキするなぁ」と思われている方、安心のためにも一度詳しい検査をお勧めします。

2016.5.1 第04回 「災害時に注意すべき疾患~その2~」

胸の痛み「エコノミークラス症候群」とともに災害時に注意すべき疾患として「たこつぼ心筋症」があります。 非常に強い精神的ストレス(災害・身内の不幸など)や身体的ストレス(苦痛をともなう検査・脳卒中など)によって心臓の働きが低下し、タコツボの様な形に見えることからこの名前がつきました。院長が以前にお世話になった広島市民病院で発見された疾患です。心電図所見が急性心筋梗塞に似ているため緊急で心臓カテーテル検査が行われますが、冠動脈に異常がないのが特徴です。通常、数週間で回復しますが、ショックや心破裂を生じるケースもあり入院が必要です。 つらい出来事や悲しみの後で「胸がおかしいな」と感じたら、早めに循環器専門医の診察を受けてください。

2016.4.24 第03回 「災害時に注意すべき疾患とは」

水分補給熊本、大分両県を中心に発生した地震により亡くなられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 災害時に注意すべき疾患に「肺塞栓症」があります。「エコノミークラス症候群」とも呼ばれ、長時間身体を動かさずにいると足の静脈に血栓が生じ、血栓が飛んで肺の血管に詰まる病気です。災害時では「車中泊」をしている方が要注意です。胸痛や呼吸困難、失神が主な症状ですが、血栓が多い場合は命の危険性もあります。予防策はこまめな水分補給と歩行です。歩けない場合でもつま先を立てたり足首を回したり、とにかく足を動かすことが重要です。 一刻も早い復興を心からお祈り申し上げます。

2016.4.17 第02回 「心臓に優しい運動について」

ウォーキング運動には血圧や血糖値を下げるなどさまざまな効果がありますが、心臓病予防にはどんな運動が効果的でしょう? 運動は「無酸素運動」と「有酸素運動」に分けられます。無酸素運動は全速力で走るような運動で、体に酸素の供給が追いつかないため心臓病の方には適しません。心臓に優しい運動は、ウォーキング、水泳、エアロビクスなどの有酸素運動です。 まずはウォーキングから始めるのがよいでしょう。腕を大きくふって、リズミカルに歩きましょう。歩くスピードの目安は「じんわり汗ばむ」程度です。 街路樹の新芽も出始め、ウォーキングにぴったりの季節です。さあ、お気に入りのシューズを履いて、さわやかな空気を満喫しましょう。

2016.4.10 第01回 「笑う門には福来たる」

笑顔笑いにはストレスを発散させて免疫力をアップする働きがあり、ガンの予防や治療に効果があることが知られています。また、最近、脳卒中や心臓病に対しても効果があることが報告されました。 日常生活でほとんど笑わない人は、ほぼ毎日笑う人に比べ、脳卒中の割合が1.6倍、心臓病の割合が1.2倍高いとの調査を東京大などの研究チームが発表しました。 調査にあたった東京大保健社会行動学の近藤尚己教授は「笑いは動脈硬化やストレスを軽減するため、よく笑う人ほど脳卒中や心疾患になりにくい可能性がある。女性は普段からよく笑っている人が多く、笑わない人との差が出たのだろう」と話しておられます。 映画や喜劇を見たり、気の合う友達とおしゃべりしたり、たまには旅行にも出かけて、健康のためにたくさん笑って楽しく過ごしましょう。